院内感染予防対策

肥後歯科口腔外科クリニックの院内感染予防対策

実際の消毒・滅菌方法を含めた感染予防対策について

そもそも口腔外科とは?

歯科治療を行うにあたり、我々歯科医療従事者は、肝炎ウイルスや人免疫不全ウイルスなどの感染症患者様と接触する機会は少なくありません。
問診や自己申告で感染症の有無を把握できる一方で、自己申告がない場合や感染者自身の認識がない場合も多いため、的確な感染予防対策を行わなければ、院内感染を引き起こす可能性があります。
また昨今では、メディアが歯科医療における感染等に関する情報を紹介しており、歯科治療における院内感染について敏感な患者様も増えています。
これらのことから、当院では、患者様、医療従事者を感染から守るためにスタンダードプリコーションを取り入れた対策を行っています。
このページでは、当院で行っている実際の消毒・滅菌方法を含めた感染予防対策についてご紹介します。

世界的も関心の高い歯科の消毒滅菌問題

アメリカの消毒滅菌問題

アメリカの消毒滅菌問題※クリックすると拡大します。

こちらは、日本歯科新聞に掲載されていた記事で、アメリカの歯科医院で器具の消毒滅菌を怠ったため、約7千人に対してHIVやHCVの感染の疑いがあると報じられ、世界中で問題になったことがありました。

日本のハンドピース使い回し問題

日本のハンドピース使い回し問題※クリックすると拡大します。

一方、日本でも、歯科用ハンドピースを患者様ごとに滅菌せず、使いまわしにしている医療機関が7割を超える可能性があると、メディアで取り上げられています。

又、昨年9月には、厚生労働省より、本件について、ハンドピースの滅菌等の院内感染対策の啓発に努めるようにとの通知がありました。

スタンダードプリコーションについて

スタンダードプリコーションについて

スタンダードプリコーションとは、患者様の血液、体液や患者様から分泌排泄される湿性物質、患者様の創傷、粘膜に触れる場合は、感染症の恐れがあるとみなして対応する対策を言います。
この予防策は、感染症の有無に関わらず、全ての患者様に適応するべきと考えられています。
当院では、マスク、手袋、エプロン、ゴーグル等の着用しています。

スタンダードプリコーションについて

こちらは、 抜歯(ばっし)など、出血を伴う外科的処置を行う観血処置時の写真です。

器具の滅菌消毒について

器具等の滅菌消毒については、下記のスポルティングの分類に基づいて行っています。

器具の滅菌消毒について

スポルティングの分類は、クリティカル・セミクリティカル・ノンクリティカルに分かれており、外科用器具・切削バー・スケーラーなど、無菌組織や、血管に挿入するものをクリティカル
口腔内ミラー、バキューム管・チップ、印象用トレー・ハンドピース等、粘膜または、健常でない皮膚に接触するものは、セミクリティカル
ユニット、X線撮影関係、血圧計、パルスオキシメーター等、健常な皮膚に接触するものは、ノンクリティカル
となります。
当院では、セミクリティカルに分類される器具・物品については、可能な限り滅菌・ディスポーザブル扱いとしております。

器具の滅菌消毒について

滅菌を行う器具・器材については、洗浄・消毒・滅菌の定義に基づいておこなっています。

当院での滅菌行程

01.洗浄液への浸漬

01.洗浄液への浸漬

使用器具等は、血液などが付着していても、そのまま薬液の中へ静かに投入し、10分間浸漬します。
薬液は、中水準消毒同等レベルのものを使用しているため、気になるウイルス・細菌を除去でき、洗浄時のスタッフへの感染リスクを軽減できます。

02.ブラッシング

02.ブラッシング

写真の通り、洗浄液内で行うことによりスタッフへの飛沫感染を防止します。

03.超音波洗浄

03.超音波洗浄

ブラッシングの後は、器具を引き上げ超音波洗浄を行います。
キャビテーション効果によりタンパク質が除去できます。

04.すすぎ

04.すすぎ

超音波洗浄後は、すすぎを行いますが、これまでの行程でHIV・HBV・HCV等は、完全に除去されているため安心してすすぎを行うことが出来ます。
洗浄液の残留は、体内や器具への影響があるためしっかりすすぎます。

05.包装

05.包装

すすぎを終えた器具は、タオルを用いて乾燥させ目視点検を行います。
異常がないと判断したうえで、滅菌バックで包装します。
滅菌を行う際は、上に重ねず、立てかけるように並べ、フィルム面が向き合わないように並べます。

06.滅菌

06.滅菌

滅菌の行程では、全ての微生物を殺滅させます。
オートクレーブクラス分類「クラスB」の滅菌器を使用しています。
クラスBの滅菌器では、固形・多孔体・中空・非包装・包装などあらゆる非滅菌物を滅菌可能としています。
滅菌後は、清潔な場所に保管します。

ユニットの清掃について

ユニットの清掃について

ユニットの清拭については、中水準消毒同等レベルの除菌洗浄剤を使用しひと患者様ごとに行っております。
清拭後は、HIV・HBV・HCV等のウイルスや細菌を除去できています。

消毒に使用している薬品

  • 消毒に使用している薬品

    <器具器材の消毒>
    3H Rapid
    (スリーエイチラピッド)
  • 消毒に使用している薬品

    <ユニット等の清拭>
    SURFA’SAFE Premium
    (サーファセーフプレミアム)

当院では、メディコム社取り扱いのアニオス社製品の消毒液を使用しています。
器具器材の消毒では、スリーエイチラピッド、ユニットの清拭には、サーファセーフプレミアムという商品を使用しています。
どちらの商品も主成分は、DDAC-Bであり、HIV・HBV・HCV等のウイルスや細菌を除去でき、エタノールとの相違点は、ノロウイルスまで除去できることです。

院内感染予防策を行う為に

当院では、患者様、医療従事者を感染から守るため、スタンダードプリコーションを取り入れた対策を行っています。
多様な知識が必要なので、第一種滅菌技師の方に来ていただき院内での感染管理について、勉強会を行っています。
感染予防策を行うには、コストもかかってきますが、知識を取り入れたうえで、できる範囲で試行錯誤して行っていくことも大切だと考えています。